銭コ乗せ
「なん…だとっ!」

場の空気が、一気に凍り付く。周りのヤツラの手が、懐にいくのがわかった。

だから…


だから…



だから言いたくなかったのにぃぃー!!


「…どうゆうつもりだ?」

手の平をかざして周りを諫めると、ボスは俺に問い質してきた。

咳を小さくして、俺は答えた。


「俺には、金持ちの価値感ってのがよくわからない。最近、それを思い知らされたんだ。さっきも言った豪邸の主人は、世間ではカス軸なんて言われるガラクタを、探し求めていた。」

「つまりは…その逆も有り得るって話だ。もし仮に、この袋の中味が、どんなに世間で価値のあるものだったとしても、それはボスにとっては、ただのガラクタかもしれない。」

「そうしたらボスは、俺と勝負なんてしないだろう。勝負の破棄、それだけはごめんだ。だから…中味を見せることは…断る。」
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