銭コ乗せ
「うーん…これはヒドいねぇ。一銭の価値もないよこりゃあ。」

店主の言葉に、俺は愕然とした。

「…おいこらジジイ!寝ぼけたこと言ってんじゃねぇぞ!これが価値ねぇだとぉ?これはなぁ…俺の大事な…大事なシャークんと引き換えに得た指輪だぞぉ!シャークんプライスだぞてめぇ!」

「な…なんだねっ!わしゃ知らん!社訓なんぞ知らんぞっ!何かね?君の会社は教えを切り売りするのかねっ!?」

くっそあのアマ…俺にパチもん掴ませやがったな…。

「ともかく価値がないわけねぇ!謝れっ!シャークんにあやまれぇぇー!」

「そんな安っぽい社訓に誰が謝るかぁー!教えはプライスレスじゃあぁぁー!」

…ちっ、このジジイ。脅しは効かねぇか。
それよりもジジイ、「社訓」じゃねぇから。「シャークん」だから。もう教えとか言って、わけわかんなくなってるから。ちなみに俺は、無職だから。

こうなったら、なりふりかまってらんない。
無職の俺に「なりふり」なんて使わすなクソっ。「なり」も「ふり」も元々ねぇよクソっ。

俺は両手を床につけると、そのまま額を近付けていった。
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