銭コ乗せ
「すまん!!頼む!ここで終わっちまったら、俺はもう生きてけねぇんだよぉ!お願いだ!どうにか引き取ってくれぇ!」

ありったけの力を込めて、俺は土下座に徹した。

「うーん…仕方ない。では引き取ってやるかの。」

―よっしゃ―

「変わりにあそこの掛け軸を持っていきなさい。君も上司のパワハラに、苦労してるんじゃろ。」

―えっ…掛け軸?―

ジジイの会社ネタの引っ張りように少々イラつきを覚えたが、まずは掛け軸だ。指された方向を見てみると、5歳児でも描けそうなみすぼらしい掛け軸が、寂しそうに垂れ下がってた。

指輪、掛け軸、指輪、掛け軸、ゆび…かけじ…シャーク…いやシャーク違う…

「かけじくぅぅー!!」

「ひぃぃー!なんだね君は!」

「いや、すいません。ありがとうございました。」

立ち上がって掛け軸をクルクル丸めると、俺は店を後にした。

こうして俺は新たに掛け軸を手に入れた。

なんだかわけわからなくなってきた。
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