銭コ乗せ
俺は手下の一人を左手で指さして、続けた。

「あいつがボスに耳打ちした時、俺はそれを確信した。あれはホントにファインプレーだったぜ。ありがとな、手下一号。」

「ちっ。」

指された手下は、不満そうに舌打ちした。

「ともかく…見張りは俺が豪邸を出て、掛け軸を何かと交換して出てきた事実しか知らない。俺はあの後、コイツを袋から出すことはなかったからな。そこで閃いたんだ。これは交渉に使えるんじゃないかって。何しろあれだけの豪邸だ。値打ちのあるものと交換した可能性は、充分にあるだろう。そして、その交渉相手は、俺が豪邸に出入りして、何かはわからんが中のものを得た、そうゆう経緯を知ってる者のみに絞られた。」

「それは見張りと…そしてボス、あんただ。」
< 120 / 137 >

この作品をシェア

pagetop