銭コ乗せ
「…ポーカーで勝つ気なんて、元々まったくなかったんだ。それでも、ポーカーで勝てるなら、それに越した事はない。予想以上に手が強かったんで、本当にあそこで勝ててしまうとは思ったが。」

「それでも、当初からそんなことは当てにしていない。それよりもポーカーで大事なのは、確実に、ボスからのものと言える一万円が、俺と布袋の近くに置かれること。それから…」

「その一万円を俺が奪い取れば、あんたはそれを認めるという約束を、勝負の前に取り付けることだ。」

「あっ」

「わざわざ二度も言ったのは、ただ単に理性が働かなかったわけではない。あれは、俺を認めろという意味ではなく…」

「当然、奪い取った一万円を、俺のものであるとゆうことを、認めてもらうためだ。」


「そして…いよいよクライマックスだ。」


そう言うと俺は、テーブルの上に置かれた布袋を眺めた。


その中には、




一万円札が入っていた。
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