銭コ乗せ
「ギャンブルではまず勝てはしない。そこで出て来るのが、コイツだ。」



ギッチャギッチャ。




銃で撃たれる直前。


俺はマジックハンドの使い方を実演してみせた。


そう、




一万円を掴み取って。


それを慎重に布袋まで運ぶと、どうにか中に入れることに成功した。

しかし、それを見届けると同時に、銃声がなり、俺の右肩から血が吹き出た。

右腕がすっ飛んでったかと思ったくらいだ。

よかったぁ。すっ飛んだのがマジックハンドで。…つっ。




「…言うまでもなく、これは布袋の小銭を物々交換して得たものだ。つまり、コイツでとったものには、その小銭が関わってくる。」

「俺はこの、マジックハンドを使って、一万円を袋に入れた。」

「それは、布袋の小銭を使って、その中味をきっちり一万円にしたことを…意味する。」


ギッ…チャギッ…

「このマジックハンドは、もはや俺のものではないけれど、そんなことは関係ない。小銭が関わっているのには、違いないのだから。」

「逆にその一万円は、俺がコイツで掴んだ瞬間、奪い取った瞬間、俺のものとなった。そう、ボス、あんたのお墨つきでね。」


…チャッ。
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