銭コ乗せ
ここは、賭けだ。

コイツが骨董収集家であることを祈るしかない。

頼む…頼むぞ…

「それはそれは。ささ、外ではなんですからどうぞ。」


きたっ!

家にさえ入っちまえば、こっちのもんだ。あとは無理矢理にでもゴネまくれば、こんな豪邸だ、一万くらいすぐに出すだろう。

俺の腹の内なんかしらずに、主は終始ニコニコしていた。

家に入ればこれがまたすんげぇのなんのって。
なんの毛皮かしらねぇが、フッカフカ。ソファもなんでもフッカフカ。机もなんでもキンラキラ。
俺の期待はますます膨れていった。

「それで、その…品というのは?」

「あっ、はい、これは失礼致しました。これがその…掛け軸でございます。」

俺は恐る恐る掛け軸を広げた。

「こ…これは…」
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