銭コ乗せ
ギッチャギッチャ。
ギッチャギッチャ。
豪邸に可動音が鳴り響く。
布の中味は、
そう、
使い古しのマジックハンド。
「あの…これは…?」
「いやぁー、はっはっは。孫のオモチャですよ。」
「右腕…っていうのは?」
「ちょっといいですか。」
主は俺からマジックハンドを受け取ると、
ギッチャ。
座ったまま電灯のヒモを掴んだ。
カチッ
カチッ
カチッ
カチッ
「ほら、右腕代わり。便利でしょ?」
ギッチャギッチャ。
「じゃ、じゃあ、見合う財産が家に中々ない…ってのはっ!?」
「はー、お恥ずかしい。あなたもご存じの通り、世間ではカス軸なんて呼ばれてるこの品に、中々見合う財産はこの家にはないものですから。私もなんでこんなガラクタを欲しがったものか。私自身も不思議なものでして。」