銭コ乗せ
「まあ…」

「君がその袋の中味を探ることは…」

「一生出来ないんですけどねぇククッ。」

そう言ってキツネ眼が懐から取り出したのは

拳銃。

「その袋、置いてもらおうか。」

「はぁー?何言ってんだお前?奪ったりしたら、それこそ…」

「なぁに。奪うなんてことはしないさ。僕はこっちの袋とそれをただ、取り替えるだけさ。」

「取り替える?仲間内のやりとりは…禁止されてんだぞ。」

はーっ、また深いため息をつくと、キツネ眼は呆れ顔を浮かべた。

「君は何もわかってないんだな。」

「なん…だと…」

「まずはじめに、君と僕とは仲間なんかじゃない。それは君も充分わかってるだろぉ?」

「当たり…前だ…」

「次に、もし仲間と認識されたとしても、何も問題はない。だってまだ試験は始まってないんだからねぇー。ボスは好きなのを選べと言った。これは試験が始まる前の、いわば準備段階の指示だ。だから僕は、
まだ、

好きなのを、

選んでる。

それだけのことなんだよぉ。何も問題はないのさ。」
< 28 / 137 >

この作品をシェア

pagetop