銭コ乗せ
―ピーン―






―バシャバシャ…―




「んっ?」



―バシャバシャバシャ…―

「だ、誰か…たすけ…」


―バッシャバッシャバッシャッ―


「せ、先客だぁー!!」


―パシッ―

思わず大声を上げる俺をよそに、十円はしっかりと手の平に入っていった。

俺の視線の先には、中年太りのおっさんが、湖面に水渋きをバシャつかせていた。その姿は明らかに


海獣の類いだ。

いや違う、明らかに


溺れている。

何やってんだよおっさん。テンションだだ下がりじゃねぇか。俺、今から死のうとしてんだぞ?そんな人間の目の前で、溺れるってどうゆう神経だよ?これで俺も入ってみろ。大の大人が二人して湖バシャつかせてんだぞ。ほら、どうよ?

雰囲気ぶち壊しじゃねぇかっ!!
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