銭コ乗せ
「クソッ…くっそぉー!馬鹿野郎がぁー!」

―ザブーン―

水は想像以上に冷たい。こんな中で絶対溺死なんてできねぇわ。溺死の前に凍死するわ。いや、凍死の前に、陸にあがるわ。


「くっそマジつめてぇ!クッソ、クソめがぁー!!」

おっさん目掛けてがむしゃらに泳ぐ。あれ?俺全然泳ぐの下手だなぁ。すいすいーなんて絶対無理だったわこれ。

「掴まれっ!」

そうこうしてる間に、おっさんとの距離はもうほとんどなかった。

「た…助け…」

「だから助けてるっつーの!さっさと掴まりやがれ!」

「ま…まって待って!あ…足が…もうつりそうだ!!マジで今つりかけた!もうつる!これは絶対つるぅぅー!」

「足はもういいっつーのっ!!いい加減にしねぇと、マジで沈めるぞコラァ!」
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