銭コ乗せ
―カッポン―




「あー、いいお湯だぁー。」

湯船に浸かるおっさんが、芯からの吐息を漏らした。

びしょ濡れの衣服をクリーニングに出し、残りをコインランドリーに詰めると、スウェットに着替えた俺とおっさんはその足で銭湯に向かった。

死ぬ前に風呂なんて入っても、マジで意味ねぇよ。


けど、

やっぱあったまるなぁ風呂は。
湯船に入ると冷えきった体を銭湯のお湯が、芯からじんわり温め出した。

「あー。」

俺もまた、おっさんと同じ吐息を漏らした。
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