銭コ乗せ
「そうだ!次!次はどうします?まさか銭湯で済ませようなんて、私思っていませんからね?」

「いや…いいんだホントに。気持ちはありがたいけど…もう、いいんだよ。俺にはもう必要ないから。」

「…そうですか…」

肩を落とすおっさんが、とても寂しくみえた。

すまない。

すまない、おっさん。

俺がこのおっさんから、どんなに奉仕してもらっても、

試験には通らない。

おっさんがなんぼ金をくれたとしても、

あの一万には届かない。

金はあくまであの袋から使って、そうして増やしていかなきゃならないからだ。袋の中の十円玉を、結局俺はコイントスにしか使わなかった。


コイントスにしか…
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