銭コ乗せ
…バカが。コイツもか。だからそれじゃあダメなんだって。訳ありだって言ってんじゃねぇか。それくらいわかれバカ!!くっ…クソッ…

「い…いや…それじゃあダメなんだよ…あくまで…
こん中の金を使って、一万作んなきゃ…いけないんだっ…!!」


―ジャラ―

僕はつい、興奮してカバンに入れてあった布袋をわざわざ取り出し、ババアの前に突き出した。

「ふぅん。」

ババアがのんきな声をあげやがる。

イラッ…

イラッイラッ…

我慢ガマン。ここは我慢だ。バカにどうにか合わせてやるしかない。まったくなんで僕がこんなことしなくちゃいけないんだ。

「…わかったかなぁ?わかったらそろそろ交換しても、いいだろうか…?」

「あんた、これ、全部使わなきゃいけないのかい?」

「はぁ?」

…クソッ、マジどうでもいい。さっさと金渡しやがれバカが…。

「これ、中は全部小銭だろう?ずいぶん重たそうだねぇ。全部使わなくてもいいんだったら、あんたがこんなに持ち歩く必要もないんじゃないかい?よくわからない話だけど、中から一円だけ出して、それを二円と交換してもらえばいいじゃないか。」
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