銭コ乗せ
僕が…バカに…従うしかないなんて。

僕は仕方なく金庫を開けると、札をきっちり10束、無言で取り出した。

改めるもなくバカはそれをカバンに詰めると、

「まあ、試験に受かりさえすれば、こんなこと、なんてことないだろ。その布袋だけは持ってくのを許してやるよ。」

「わかったら、出るぞ。どの道あんた、ここはもう出るしかないだろう?途中変なマネしたら、即刻殺すからな。」

そう言ってバカは再度脅しつけると、先に出るように僕に指示した。

残念ながら、アジトには僕とバカ以外、誰もいなかった。

変なマネをしようにも、何も出来るわけがない。

絶望と頭の先まで届いた憤怒を、胸で何度も噛み締めながら、

僕はアジトをあとにした。
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