銭コ乗せ

破滅

ようやく、朝がきた。

いつ追っ手が来るかもわからない状況を丸腰で打破する夜は、寒くてとてもツラかった。

なぜ、こんなことになってしまったんだ?

バカが…バカどもが…バカ過ぎるために…僕がこんな目に合うなんて…!!

さっさとボスの組織に入ってれば、あんなちんけな組なんか、僕が牛耳るのも容易かっただろうに。元々僕のおかげでのしあがったようなもんだぞ、あの組は。そんな僕が今や、組から追われる立場になっているなんて。組の金を持ち出すなんて誤法度を知ったら、ヤツラ血眼になって僕を探していることだろう。アイツらも言うまでもない、バカだからな。

僕にはもう、布袋に入った9999円以外、何もなかった。アジトも家も、戻れるわけがない。頼みの綱は、本当にこれだけだ。これを一万円にしなければ、僕の生きる道はない。

占いのババアが言った言葉が、思わず脳裏をかすめてしまった。今日はどうやら、いないようだ。それともまだ時間帯が早いだけか。

「破滅するよ。」

まったく不快な言葉だ。

今日こそ、さっさと終わらせて僕は生き残るんだ。

破滅なんかするか。
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