銭コ乗せ
意気込みも虚しく、昨日と同じことがまた起こる。しかも今日に至っては、

バカどもは目すら合わせはしない。

誰がどう繋がってるのかもわからないので、うかつにこっちも声をかけれない。


たった一円が…


たった一円なのに…



「たった一円が届かないぃぃぃぃー!!」

日の出を迎えた僕は、その眼で日の入りもまた、見届けようとしていた。オレンジ色の不気味な夕焼けがカウントダウンを刻んでいた。







ヤバい。


ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい


これはホントに、


ヤバい。


なぜ…まともな人間がいないんだ。なぜ…バカしかいない!一円を二円と取り替える。たったそれだけのことを…!

「破滅するよ。」

「破滅するよ。」

「破滅するよ。」

「破滅するよ。」


黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ。


「だまれぇぇー!」

逆上してしまった僕には、前方から来る殺気に満ちた金髪を確認することなど、出来るはずもなかった。

その右手には、


鋭利なナイフが握られていた。
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