銭コ乗せ
ようやく金髪を認識した時には、もうナイフが僕を襲いかかっていた。

僕はとっさに身構えた。

が、しかし、





―ザクリ―




鋭利な切り裂き音が、辺りに響いた。


「きゃあぁぁ!」

近くにいた少女が悲鳴をあげた。

そして、




鮮血





の代わりに、小銭がジャラジャラと床に落ちていった。
偶然突き出した布袋が、僕の身代わりになったのだ。ザックリとした裂け跡が痛々しい。

これが、もし、僕だったら…

「くそっ!しくじった!」

金髪は慌てて逃走した。


バカが…


バカが…襲ってきやがった…!!



「破滅するよ。」


僕は不覚にも破滅の幕開けを予感してしまった。
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