銭コ乗せ
「てめぇコラァ!待ちやがれっ!!」

僕は怒声を上げて、金髪を追いかけていった。

フー…

フー…

あのバカ、僕を殺そうとしやがった…!!


ナメてやがる…


ホントにナメてやがる…!!



ぶっこ…ぶっころ…ぶっ殺して…


「…はっ!」


…ダメだ。

こんなことしてる場合じゃない。

小銭をあのままにしておくなんて、この状況で僕は、なんと軽率なことをしてしまったんだ。

あれは、僕の命だ。あれがなくなることは、すなわち、僕の死を意味する。

そんなものから離れるなんて、僕はなんてことをしてしまったんだ。

今やバカどもがこぞって僕のことを狙ってやがる。ちょっと目を離したスキに、あんな小銭、根こそぎ盗られてしまう。

次は…ホームレス辺りか…?

思う間も無く、僕は小銭に群がるホームレスどもをみとめた。
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