銭コ乗せ
肩が痛い。

朝から鉄パイプを何回運んだかわからない。

外の寒さと相反して、建物内は蒸し返していた。抱える右肩はもちろんのこと、対象に左膝も悲鳴をあげていた。

こんな肉体労働なんて、ほぼ初めてに近い。非効果的な筋肉トレーニングを、ひたすらやらされてるみたいだ。

「よーし、メシにするぞー。」

声が聞こえて、ようやく昼休憩になった。

コンビニに行ったり、持参してきたりした弁当をそれぞれが食べ始め、談笑が始まったが、

僕はただじっと隅っこに座るだけだった。

あんなに朝、食べたっていうのに。

仕方なく僕は、やかんのお茶をグビグビ飲んだ。

「なんだお前、昼メシ忘れたのか。」

見事なビールっ腹をたくわえたおっさんが、そんな僕に気が付いた。

「金は?」

「ない。」

当たり前のように僕は言い切る。

「しょうがねぇなぁ。ほら、これ食え。」

そうすると、当たり前のように、おっさんがおにぎりを差し出してきた。

僕は無言でそれを食べ出した。
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