銭コ乗せ
「はい、お疲れ様。」


「はい、お疲れ様。」


ようやく残業も終え、事務所に戻ると、社長から一人一人に茶封筒が渡された。

初めて汗を流して得る給料までには、ひどく長くてツラい道のりがあった。
そんな道を進むことなんて、到底出来ないはずだった。



「はい、お疲れ様。」


僕は、一万円の入った封筒を受け取ると、



「ありがとう…ございます。」



生まれて初めて、

ありがとうと言った。
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