僕の幽霊
「……悠莉さんは、家ここら辺?高校、どこだった?」

「…岾科高校」

「一緒だな。松市先生とか知ってる?」

「……松市??…物理の先生?」

「そうそう。あの背の小さい、オヤジギャグばかり言う先生、アイツ最近結婚したんだ。」

「え!嘘!松ちゃんセンセー結婚したの!?」

大きな声が出てしまった。

「そう、またその相手ってのがさ、元生徒らしい。」

「え〜!え〜!!信じられない!松ちゃん先生、やるぅ!すごい!」

「…もしかして、悠莉さん、知ってるかな。道田 美月(どうだ みつき)さんって。松ちゃんの相手。」

「!!知ってる!美月先輩!ミス岾科準グランプリだもん!めっちゃかわいい先輩だもん」

思わず、謙汰に乗り出して近付いた。

「松ちゃん、俺の担任なんだ。結婚式に、クラスの皆でお祝いに花と電報を送ったんだよ。その時、名前きいたから。」


「え〜すごいね。松ちゃん先生と美月先輩…きゃーっ信じられないっメデタイねっ」

「……そうだね。悠莉さん明るいね。幽霊でも笑えるんだね。」

気付いたら、すぐ目の前でしゃべってた。興奮して肩とか叩いちゃってたし……馬鹿みたい、わたし、幽霊なのに…


スルスルとゆっくり五歩ほど後ろに下がった。
因みに、足はあります。ユラユラ消えかけたモノが付いてる訳じゃないです。


「松ちゃん知ってるなら…ユキ子先生は知ってるのかな。保健室の。」

「ユキ子先生??…保健室の先生は、男の先生だったけど?」

「へ〜保健室の先生って男の場合もあるんだなぁ」

微笑みながら言う謙汰。
さっきの目つきよりは怖くないかな。
本当にはっきりとした一重の目をしている。一重って珍しいよね。


「悠莉さん何年度入学?…俺は2009年だよ。」

「…2004年。」

「ふーん。じゃあ生きてたら五歳年上になるな。悠莉姉さん。」

「…い〜よ。死んでるし。16歳のまんまだし。『ゆうり』でいい…」

…言いながら馬鹿みたいだと思った。何で友達みたいに、呼んでいいよ、みたいに言ってるんだろう。


「…それ、『さん』付けしなくて良いって事?……悠莉?」

「えっいやっあの…」

何でこんなに謙汰ペースの会話なんだろう。


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