未来へ
どれだけ走ったか。
久々にこんな夢中で走った。

そこは、見覚えのない河原だった。

人通りはあまりなく、川の流れる音も聞こえてくる。

慌てて辺りを見回すと、ここが二つ隣の町だとわかり、少し安心した。
少し離れただけでこんなにも景色が違うものなのか。


私はそこに座って、ただ流れる川を眺めていた。



そういえば、いつも私の気持ちは空回りしていた。
3つ年上の姉は頭も要領も良く、小学校から私立の名門校に行っていた。
今年入学した大学も有名な都内の大学だ。
それに比べて私はその真逆で、姉の行った名門校は勿論、受けた私立校はことごとく落ち続け、高校すらも滑り止めの滑り止めの滑り止めレベルで受けた所しか受からず、両親をがっかりさせていた。
いや、中学校入学の頃から両親は私にはもう期待もしていなかったのだ。
姉のようにならなくちゃ、頑張らなくちゃ、と必死だった私は空回りしすぎて元に戻れなくなっていたのだ。

気付いたらそんな私は家の中でも一人だった。
大学入学のために一人暮らしを始めた姉がいなくなっても、両親には私はほぼいない人間だった。
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