未来へ
そうだ、なんで今まで気付かなかったんだろう。


私は誰にも必要にされていないじゃないか。


家には出来の良い姉がいればいい。


学校でもただのがり勉のキモい人。


そんな私がここにいる意味なんてない。


いっそ死んでしまった方が、みんな気が楽なんじゃないか。


そう思ったら、もう抜け出せなかった。


あの川に飛び込んだら、死ねる?

どっか別の場所がいいだろうか。


そんなことを考えながら足はゆっくり川へ降りていた。



「どいてどいてどいてー!!!!」



そんな私の横をもの凄い勢いで誰かが通り過ぎた。
その驚きで私の足は止まった。


バシャーンと水が跳ねる音がした。

しばらく呆気に取られたまま見ていたが、ハッと我に返りそちらへ駆け寄った。


「だ、大丈夫ですか?!」



男の子だろうか。うつ伏せ状態で川に浮いている。
これは、まずいんじゃないか。
死んでる?
救急車とか呼んだほうのがいいのか。


おろおろしていると、その人は、思い切り身体を起こした。
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