未来へ
しばらくの間、私たちは水を掛け合っていた。

「やっと笑ったね」

気付いたら私は声を出して笑っていた。


どれくらいぶりだろうか。こんな気持ちになったのは。


川から上がり、河原に並んで寝転がる。
日が沈み始めていた。


「ねぇ、あなた、よくここに来るの?」

真っ赤な空を眺めながら私は聞いた。

「あぁ、ここは僕のお気に入りだからね」

「じゃあ………明日も、来ても…いい、かな?」

遠慮がちに聞くと、彼は私の手に手を伸ばした。

「いつでもおいで」

私はその手を握り返した。


いつ振りだろうか、空が綺麗だと思った。
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