雨粒ドロップ



暫く気を失っていたらしい。

気付くと愛璃は、知らない建物の中のソファーの上に横になっていた。


ふと気が付くと、メガネをかけた長髪の男が顔を覗きこんでいる。

肩に付くほど長い銀髪に
メガネの奥には優しげに細めたエメラルドグリーンの瞳。

愛璃は未だボーっとしている頭で、何となく…綺麗な人だな、と思った。

そんなことを考えていると、ふいに男が話しかけてきた。


「いやぁ、びっくりしましたよ。いきなり坂の上から人が転がり落ちて来たので…」


男は優しく、
にっこりと笑った



「あ、あああんあのっえと、すんませんでした!」


顔がちょっと熱るのを感じた。


ペコッと頭を下げて、目を反らすように横を向く。



なっ…何こいつ…

畜生‥


…かっこいいじゃねぇか…




心の中で呟いて
落ち着くために辺りを見まわした。

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