雨粒ドロップ
暫く辺りを見回していると、長髪メガネ男は愛璃の興味津々な目を見て言った。

「素敵な建物でしょう。これ、全てこの洋館の主…珱魅<ヨウビ>様が建てたんですよ」


「…珱魅…?」


「はい。彼と珱魅様はここで探偵事務所を経営しているんです」

「探偵事務所?!」

…成程。
愛璃はとても納得した。



このアンティークな雰囲気、古い本、窓を背にして部屋全体を眺める様に配置されている古い机と、その机の前にある大きな古い椅子。


この部屋は、探偵事務所と言われると、何だかすごくしっくり来る造りなのだ。



珱魅と言う人物は、数々の大事件を解決してきた大物なのだろうか。

キセルをくわえ、片手に大きなルーペを持ち、何処かの推理小説の主人公の様な出で立ちで、数々の難事件を解決して来たような探偵なのだろうか…?

そう考えると、何だか凄くドキドキした。
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