雨粒ドロップ
「…ところでお嬢さん、お名前は?」

愛璃が少々興奮気味に部屋を見回しているところに、微笑んだ彼がそう尋ねてきた。

「あっ樺沢愛璃…です。…
ところで、あんたは?」

愛璃は名前を呼ぼうとして、自分がこの長髪メガネ男の名前を知らない事に気が付いた。

気の利く彼は直ぐに名前を教えてくれた。

「あぁ、こちらが先に名乗るべきでしたね。

…銀城縁。銀城と呼んで下さい。」

彼は柔らかい笑顔でそう言った。


「…銀城‥さん。
珱魅って奴はいつ頃戻って来るんですか?」


愛璃は、その珱魅という人間に一目会ってみたくなった。

探偵なんて滅多に見れる物ではないし、それに愛璃は探偵モノの物語が大好きだ。
それを実際に見れるのだから、こんなに夢の様なチャンス、逃すなんて勿体無い。

そう考えていた。
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