雨粒ドロップ

愛璃がびっくりしたのは無理もない。
銀城が様付けして呼んでいた、探偵の「珱魅」という人間は、身長や顔立ちからしてどう見ても大体12歳‥小学生…の男の子にしか見えないのだ。
しかし…その姿はやけに大人びていて、何だか普通の男の子には見えない。

まぁ、其れもそのはず。
珱魅の髪は、すんだ藤紫の色。

瞳はガーネットの様に真っ赤に光り、そのうえ、左目の下には奇妙な十字の傷が付いている…

誰が見ても、一般的な日本人の男の子とはいえないだろう。

「…おや、お客様?」


少年…珱魅はずかずかと足音を立てて部屋に入って来るやいなや、
色々な書類の散らばる机の前にある背もたれの大きな椅子にどっかりと座った。


机は窓を背にして、部屋全体を眺める様に配置されているため、その態度は本当の探偵のよう。



…というより、探偵なのだけど。
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