雨粒ドロップ

しかし愛璃は雛が靴を揃えているのにも関わらず、

「うおぉぉぉ-!!!!
ケーーーーーーーーキ!!!!!」

大きなケーキを早く食べたくて、雄叫びを上げながら長い廊下を全力疾走する。


「愛璃!パーティーは私の部屋じゃなくてリビング!」

雛の部屋とリビングは反対方向。

「え、マジ?!」


急いで方向転換しようとしたその勢いで、愛璃の体勢が崩れた。
しかし愛璃はまるで獲物を狙うチーターの様に目を光らせ、その低い体勢のままリビングの方へ走る走る。


「うおぉぉぉケーーーーキ!!!!!」


Σどバ―――ン!


力任せにドアを開ける。
と、共に聞こえたのは…






「おー!!バカサワー!!」



ある男の低い声…




「………げっ!!!!




…神奏!!?!」




そう
樺沢愛璃の事を“バカサワ”と呼ぶ人物はただ一人…

それは同級生の神奏脩人だったのだ…

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