雨粒ドロップ
…しかし、いつまでたっても雛に痛みが来る事はなかった。
その代わり…身体全体を包み込むように温かな…
「――…愛璃っ?!」
雛の上に覆い被さる様にして…そこには愛璃がいた。
「…あぁ。…間に合った、か」
愛璃はほっと安堵のため息をついた。
「愛璃…怪我は…」
雛は小さな声で不安そうに聞く。
「…あ、あぁ。…普通ならここで『大した事ねぇ』…なんて格好つけたい所なんだが…」
愛璃は一度言葉を切る。
そして、弱々しく微笑んだ。
「残念ながら…
怪我すらしてねぇ」
愛璃がそう言って後ろを向いた。
雛もつられて愛璃の肩越しにその視線の先を見る。
そしてそこに立って居たのは…
「…!! 神奏くん!!!」
…脩人だった。