雨粒ドロップ
「危なかったぜぇ。このフライ返しなかったら俺、破片が目に突き刺さって死んでる所だったぞ」
脩人が がははは、と笑うと、雛はしゅんとうなだれた。
「…っ…ごめんなさい…。」
蚊の鳴く声のようにそう呟いた雛の目から、一粒の涙がこぼれ落ちた。
「もー。雛のせいじゃないって!大丈夫だから泣くなよぉ!まったく。脩人がそんな事言うから!」
「え、俺のせい?俺のせいなのか?!」
「うぇぇぇーん」
3人がどたばたしているところに、また一陣の風が吹きぬけた。
「!またあの風だ!」
愛璃はそれをいち早く察知した。
それは次第に大きくなり、しばらくするとまたさっきの荒れ狂う風がキッチンの中を暴れまわっていた。
その風は、キッチンの一箇所…中心にあるテーブルの上に集まりはじめた。
「…ッく!何だこの風!」
そして、それと共に男の笑い声が聞こえてくる。
楽しそうに笑うのとはまた別の…
「―…みーつけたっ…」
ふっと風が止んだかと思うと、テーブルの上には1人の男が立っていた。
「…何者だ…
…っ!?」
「なっ!」
もとい。
テーブルの上には1人の 男 の 子 が…
「…え…餓鬼?!」