雨粒ドロップ
行ける範囲は全て捜した。町中の道路の真ん中からゴミ箱の中まで、これでもか!って程捜し回った。
それでも、雛の姿は見当たらなかったのだ…。
「…っくそ!」
愛璃は力無く地面にしゃがみ込むと、思いっきり地面に拳を叩き付けた。
「…」
2人はただ黙って空を見上げるしか出来ないでいた。
「…何で今時の餓鬼はどいつもこいつも生意気なんだ…っ
あの探偵といいかまいたちの糞餓鬼と言い…」
愛璃はそう言って、また地面を叩きつける。
愛璃の拳は叩き付けていた一点だけ、黒く土がこびり付く。
「…ん、探偵?」
脩人はその一言だけを聞き逃さなかった。
愛璃はふと手を止めて顔を上げる。
そして、思い出したように呟いた。
「…あぁ。今朝自転車で雛の家に行く途中で坂道転がり落ちたんだ。
そんな俺を助けてくれた…
…ムカつく。」
「…は?」
愛璃の突然豹変した声のトーンに驚く脩人。
「あンの珱魅とかいう糞餓鬼がぁぁぁぁ!」
愛璃は人が変わったかの様にガスガスと地面を殴り始めた。
「…よ…珱魅だって?!!」
脩人は目を丸くした。
「…おい、バカサワ。
その探偵、何処に居る?」