雨粒ドロップ
「では、奥の部屋にご案内致しますね」

銀城は階段を登り、赤い絨毯の敷いてある長い廊下の先の一番奥の部屋に2人を案内した。

ドアを開けると、書類が積んである夕陽を浴びた机に、天井まである大きな本棚。

案内された部屋は、愛璃が初めて珱魅と銀城に会った部屋だった。

「…ちょ…お前らなんでこんな広い家に住んでるんだ？!!」

脩人はその部屋の広さに、目を丸くして驚いている。

「まぁー…ちょっと、ね」

珱魅は洋服の袖で口を隠し、うっしっしっと奇妙な笑い声を上げると、ポスッと音をたててテーブルの前のソファーに座る。

「あ、今お茶をお持ちしますので、そこのソファーに座って待っていて下さいね」


銀城は珱魅と反対側にあるソファーを指して言ったあと、部屋を後にした。



「…なぁなぁ、珱魅？」

脩人は銀城が部屋を出て行くと同時に、ソファーに腰かけていた珱魅の隣にドカッと座る。

そして身を乗り出すようにして珱魅の耳もとで囁いた。


「銀城…何か昔と雰囲気違くないか？」

珱魅はそれを聞いてため息をついた後、静かに言った。


「…確かに…そうかもね」
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表紙・目次

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