雨粒ドロップ
「…で、その親友が拐われたから、あいつはあんなに沈んでるわけ?」
珱魅の視線の先に居るのは愛璃。
愛璃は魂が抜け切ったように落ち込み、周りには何だか近寄り難いオーラを放っている。
「…あぁ。こんなに落ち込んでる所…初めて見た」
脩人はまた暫くうつ向くと、ふと思いついたように顔を上げた。
「なぁ、頼む。少し…俺らに協力してくれないか?」
それを聞いた珱魅は顎に手を当てて、少し考え込む。
「…天使、か。面白そうだな。
…その話、乗った!」
そう言うと、珱魅は唐突に立ち上がる。
カップの底に残る紅茶の光がゆるゆると揺らぎ、
その揺れがおさまる頃にはもう、さっきまで部屋にいた全員が部屋の外で行動を開始していた。