雨粒ドロップ
Ⅴ
もうすっかり日は落ちて、微かに茜の残る西の空と、
東の空には輝く三日月の小さな船や、散りばめた宝石のような星がかかっていた。
昼間は美しい紅を湛えていた木々も、群青色の空に黒いシルエットを浮かべている。
辺りはしんと静まりかえり、鈴虫や蛩の澄んだ歌声が響きわたる。
そんな中、脩人と愛璃は暗い夜道を目的地目指してひたすら走っていた。
「…愛璃!…おい!…愛璃…待てって!」
脩人は少しばかり息が上がってきているようだ。
しかし愛璃は知らん顔。
「待ってられっか!!お前ハンドボールやってんだろ?!走れ!!!」
愛璃はチーター顔負けの猛スピードで夜道を駆けていた。
それを隣に並ぶようにして走っていた脩人も、段々距離が離れていく。
「お前…ほんとバケモンみてぇだな!」
「うるさい!しゃべってる暇があったら」
走れ、と言いかけた愛璃に、脩人が並んだ。
「まぁ、バケモンなんかに負ける俺じゃないがな」
「…?!」
「早く行こうぜ!
…雛が待ってる」
そう言って愛璃の頭にポンと手を置くと、軽々と愛璃を追い抜いた。
「~‥畜生ーっ!!!!
‥負けてっ、たまるかぁっ!!」
そう言うと、愛璃も脩人を追い抜こうと一気に速度を上げて走り出した。
…ちょ、お二人さん?
何か目的、変わってません?
東の空には輝く三日月の小さな船や、散りばめた宝石のような星がかかっていた。
昼間は美しい紅を湛えていた木々も、群青色の空に黒いシルエットを浮かべている。
辺りはしんと静まりかえり、鈴虫や蛩の澄んだ歌声が響きわたる。
そんな中、脩人と愛璃は暗い夜道を目的地目指してひたすら走っていた。
「…愛璃!…おい!…愛璃…待てって!」
脩人は少しばかり息が上がってきているようだ。
しかし愛璃は知らん顔。
「待ってられっか!!お前ハンドボールやってんだろ?!走れ!!!」
愛璃はチーター顔負けの猛スピードで夜道を駆けていた。
それを隣に並ぶようにして走っていた脩人も、段々距離が離れていく。
「お前…ほんとバケモンみてぇだな!」
「うるさい!しゃべってる暇があったら」
走れ、と言いかけた愛璃に、脩人が並んだ。
「まぁ、バケモンなんかに負ける俺じゃないがな」
「…?!」
「早く行こうぜ!
…雛が待ってる」
そう言って愛璃の頭にポンと手を置くと、軽々と愛璃を追い抜いた。
「~‥畜生ーっ!!!!
‥負けてっ、たまるかぁっ!!」
そう言うと、愛璃も脩人を追い抜こうと一気に速度を上げて走り出した。
…ちょ、お二人さん?
何か目的、変わってません?