雨粒ドロップ
「まぁいいや。今からケーキか何か買って行くから…」

『あっ、ケーキはいいよ!叔父様がフランスの有名なお店のでっかいケーキを買ってきてくれるんだって!』

「マジ?!でっかいケーキ!食いてぇー!」

流石御嬢様。
やっぱ誕生日ケーキも高級なのね。


「じゃあ、今から行くから待ってろよ!」


『うん!待ってるね!』

じゃあな、と言って電話を切る。

いつの間にか雨は止んでいた。
どうやら傘は必要なさそうだ。



冬の日の雨上がりは結構冷え込むため、愛璃は掛っていた黒いコートを着込んで外に出た。


「うっわ、さっぶぅ」
想像以上の寒さにぶるるっと体を震わせた後、雨に濡れた自転車のサドルに跨った。


「プレゼント、喜んでくれっかなぁ…」

そんな事を呟きながら
愛璃は大通りへと走り出した。
< 9 / 64 >

この作品をシェア

pagetop