模擬彼女
僕は少しそのまま立ってたけど、はっとして彼女のほうを見た。

「あ、あの!」

やべ。テンパる・・・

「い、いろいろなものには、その・・・順序ってものが・・・」

彼女はまたいすに座った。

「だからその・・・  とも・・・」

「あのさ。」

彼女の声を久しぶりに聞いたような気がした。

「悪いけど、出てってくれる?」

「え?」

「ストーカー女もどこか行っちゃったし、もういいでしょ。」

「で、でも・・・」

「ごめんね、早く行って?」

なんだか、キュンとなって、

僕は走って家庭科室を出た。

何でか知らないけど、たくさん涙が出てきたんだ。

まぶたをこすりながら、どこへということもなく

ただ走った。

あの時僕は、悲しかったのかな。

この時、何が起こっていたのかは、後から知ることになる。
< 3 / 4 >

この作品をシェア

pagetop