舞蝶.・。*


俺達は、毎日莢に話しかけてる。
そうしないと、莢が何処かに行きそうで怖いんだ。

莢は静かに息をしてる。

「さや~っ!!!昨日な、俺のアイス猛が食いよったん。酷いよな~」
「な、何ゆうとんねんっ!!!俺はそんなしょーもない事しとらんよ?」
「ウソゆうなっ!!!泥棒っ!!!」
「ウソゆーてへんっ!!」

俺達はいつもの関西弁でのやり取りを見てる。

「莢~。寝すぎたら頭がパーになっちゃうよ?」
悠が莢の頭を軽く撫でる。
「そうだよ~っ!!たまには運動しなきゃ!!」
大和も優しく笑いかける
「いつもの笑顔はどこに行ったんだ?」
奏も微笑む
「莢~!!またゲーセン行こうよっ!」
悠も莢の手を握る

だけど。
全く反応しない。

「さや・・・莢が入院したって聞いたみんなが毎日お見舞い持ってくるんだぞ?お前とっても愛されてんな。ゆうも毎日来て、お菓子置いてってくれるんだぞ。拓と拓真も花束置いてってくれるし、おふくろ達も夜来て手作りのお菓子。毎晩持ってきてくれて、こんなに愛されてる奴。中々いないぞ?みんな、莢の笑顔を待ってんだぞ?だから…早く目覚ませよ…」

みんなは莢を見て悲しい顔をしてる。

莢はそれが聞こえたみたいに目もとから涙を垂らした
「・・・さや?」

みんなは莢を驚いた顔をして見る。
だけど。反応はない・・・。

勇樹は莢の涙を手で拭い「泣くんじゃねーよ」と悲しい顔で微笑んだ

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