舞蝶.・。*
思い出したくない記憶。
日向は、真剣な目であたしを見ている。
「……っ!」
激痛が頭を迸った。
頭を抱え、下に座り込む。
「ごめん! もういい。
今は言える所まででいいから」
日向はあたしを優しく、壊れ物の様に抱きしめてくれた。
痛みが引いてきたと同時に、あたしはゆっくり話す。
「あたしその時は、死んじゃおうかな?
死んだらどんなところ行っちゃうんだろう?
ってことばっかり考えてた。
……だけど弱かったあたしにはそんな勇気さえなかったんだ。
その時から、あたしは感情を失った。
もう、どうでもよくなってきたんだ。だからあたしは、自分の身は自分で守ろう。
って決めたんだ。
守ってくれる人は1人もいなかったから。
そこから生まれたのが今のあたし。」
スカートのポケットからコンタクトを取り出してはめた。
「今のあたし…。舞蝶なの」