桜の季節
「……傷付くんですけど…。」

私が座ってから、直樹が口をひらいた。

「な…なんで?」

「だって、こんなに距離が…。」

直樹は、そう言いながら、視線を下にむける。

「1㍍ぐらいでケチケチしないの!」

私が言い返すと、直樹は大の字に寝転んで、叫んだ。

「あーーー!俺の心臓が、ショックで死んだー!」

「死んでないじゃん。」

そっけなく言うと、直樹は、今さっきより倍の声を出して叫んだ。

「茜がいじめるーーー!!」

「ちょっ…何言ってんの!叫ばないでよ!みんなに聞かれるじゃん。」

私が言っても、直樹は、叫ぶのをやめない。

「茜がぁーーー!!」

「もうやめてってば!」

私は、つい、直樹の口を手でおさえた。

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