桜の季節
今さっきまで、うるさかった資料室。
静まり返った、この空気。
向こうの校舎で授業をしている声も聞こえる。
私達は、数秒ぐらい目を合わしたままだった。
時間がたつにつれて、私の頭が混乱してくる。
この空気に、たえれなくなり、私は、目をそらして、口を塞いでいた右手を離した。
ぎゅっ。
右手の手首に力が入る。
右手に目を向けると、直樹が私の手首を握っていて、いつの間にか、寝転んでた直樹が座っていた。
「あの…さ…。」
直樹が沈黙を破る。
「ちょっ…はなして…。」
「あっ…ごめん…。」
そう言って、右手をはなしてくれた。
「あのさ……ケー番…」
直樹が話はじめた時、誰かがこっちにくる音がした。
バタバタバタバタッ!
音からして、ものすごい走ってるみたいだ。
「……誰?」
私が聞くと、
「教え………え?」
直樹は、何か言いたかったみたいだけど、私は、廊下で走ってると思われる人の方が知りたかった。