桜の季節


今さっきまで、うるさかった資料室。



静まり返った、この空気。



向こうの校舎で授業をしている声も聞こえる。






私達は、数秒ぐらい目を合わしたままだった。



時間がたつにつれて、私の頭が混乱してくる。



この空気に、たえれなくなり、私は、目をそらして、口を塞いでいた右手を離した。






ぎゅっ。






右手の手首に力が入る。



右手に目を向けると、直樹が私の手首を握っていて、いつの間にか、寝転んでた直樹が座っていた。






「あの…さ…。」

直樹が沈黙を破る。

「ちょっ…はなして…。」

「あっ…ごめん…。」

そう言って、右手をはなしてくれた。



「あのさ……ケー番…」

直樹が話はじめた時、誰かがこっちにくる音がした。



バタバタバタバタッ!



音からして、ものすごい走ってるみたいだ。



「……誰?」

私が聞くと、

「教え………え?」

直樹は、何か言いたかったみたいだけど、私は、廊下で走ってると思われる人の方が知りたかった。

< 19 / 104 >

この作品をシェア

pagetop