桜の季節
「あのさ……熱…、大丈夫?」


熱?なんの事?言っている意味がわからなかった。

「え……?」

「知らなかったのか?茜ちゃん、熱で保健室にいるって友達から…。」

「そうなんだ………。………!………なんで私の名前っ…。」


びっくりした。

私、この人の事、何も知らないのに、私の事知ってるんだもん。

しかもこの人、教室で見た事ない…。

ほかのクラスなのだろう。

ほかのクラスの人が、私の事を知っているのが、不思議でたまらなかった。


「びっくりした?ごめんな。俺は、C組の藤本 啓也(ふじもと けいや)よろしくな。」

「あっ…うん。よろしく…。」

「てか、ケー番交換しようぜ!」

「え……。」


正直、あまり知らない人に、アドレスを教えるのが嫌だった。


「……嫌…?」

「ううん。大丈夫。交換しよっ!」


ついつい嘘を言ってしまう。

でも、もう後には、引き下がれないよね。

< 28 / 104 >

この作品をシェア

pagetop