桜の季節
私は黙ったまま、雨の方をじっと見ていた。
当然の事、直樹の顔は見えないから、困っている顔をしているのかもしれないし、反対に笑っていて、馬鹿にしているかもしれない………。
沈黙が続く。
「俺以外の男に、茜を奪われたくない。」
直樹が口を開いた。
私は、びっくりして、後ろを振り返る。
直樹は、私をぎゅっと抱きしめた。
直樹の気持ちは、嬉しかったけど、ここは、教室のベランダだ。
グラウンドからは、まる見えで、大雨の中でやっている、野球部やサッカー部にすぐ見える。
「ちょっと………、みんなに見られるよ…。」
私は、慌てた。
すると、直樹は、抱きしめる力を強くして、言った。
「見たい奴には、見せとけ。………お前の事好きなのは、誰にも負けねぇよ…。」