桜の季節
「………告白の返事…してあげたら?直樹、茜の事待ってるよ?」
「……えっ…。」
「茜の事ならなんでもわかるもん。好きなんでしょ?直樹の事。」
「……うん…好き……っ…大好き……。」
自然と、涙が落ちる。
「ほら、泣かないの。わかった?直樹、今、ずぶ濡れになりながら茜の事待ってるよ…。」
「えっ……嘘……。」
「嘘じゃない。〇×公園に、行ってきなよ。」
気付いたら、家を飛び出していた。
涙もいっぱい溢れてくる。
逢いたい…
逢いたい……
逢いたいよ………。
〇×公園の前で、足をとめる。
誰もいない公園で、ただ1人だけが、びしょ濡れで、ベンチに腰掛け、俯いていた。
私はゆっくりと近寄る。
私が帰る時は、ぽつぽつだった雨も、今はざーざー降っていた。
直樹に近寄るたびに、ばしゃ、ばしゃ、と水溜まりを踏んだような音がする。