桜の季節





言い終わる手前ぐらいで、直樹に抱きしめられた。







「お前、可愛いすぎ。」


「お前じゃないもん…。茜だもん……。」


「茜。」


「はーい?」


「俺、茜の事、好きだから…。」


「うん…。」


「強がってる茜も、恥ずかしがってる茜も、大好きだから…。」


「うん…。」


私は、返事をしながら直樹の顔を見た。


「直……樹…?」


直樹は、顔をむこうにむけて、こっちをみてくれない。


「直樹ー?」


「……こっち、見んじゃねぇよ…。」


よく見ると、耳まで真っ赤だ。


「ふふっ。」


「笑うなよ…。」


「直樹、かわいい…。」


「はぁ!?」


そう言って、私を見てきた。


「やだー。直樹、顔赤いよ?りんごみたい。」


「…るっせぇ。ほら、行くぞ。」


そう言って私の手をぎゅっと握る。





直樹と付き合ってるなんて夢みたい。


初めて逢った時は、第一印象悪かったのに…。





時間って不思議だね…。







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