桜の季節
夏
いつしか梅雨は明けて、暑い日が続くようになった。
「あーかーねー。俺、暑い。」
相変わらず、暑い暑い、と言っている直樹。
「なんか、直樹が暑いみたい。」
「まぁいいからー。茜ー。俺、アイス食べたいな♪」
「今、学校だよ!?自分で買ってきたら?」
「茜のばかやろ~。」
そう言いながら、私の顔を覗き込む、直樹は続けた。
「じゃあアイス我慢するから……ここでチューしたいな♪」
「ちょっ、ここ教室だよ!?恥ずかしいよ…。」
自分で顔が赤くなるのがわかる。
「茜…かわい………。」
近かった直樹の顔が、もっと近くなる。
教室でキスは、恥ずかしいよ!
なんて思っていると、
バシッ!
「いてっ…。」
直樹が誰かに叩かれたみたい。
「いてーな。誰だよ?」
直樹が振り向くと…、
啓也くんがいた。