桜の季節
「茜……急に居なくなるなよ…。なんで泣いてんの?」
私の耳の近くで、そっとつぶやく直樹。
「直樹が……っ…私の事………うぅっ…。」
直樹はいるのに、涙が出る。
「泣くなって。……俺が…何……?」
「私の事……………嫌いになったんじゃないかって………。」
勇気を振り絞って言った。
直樹は、抱きしめる力を強くして、
「……お前…馬鹿か…。俺は、茜の事………好きに決まってるだろ。」
私の耳元で聞こえる直樹の声は、なんだか震えていた。
「……っ…直樹……。」
嬉しかった。
私の事“好き”って、言ってくれた。
私の勘違いだったんだね。
直樹………、
私も大好きだよ…。