拝啓、青空になった君ヘ。
桜木 海斗
海斗と出会ったのは、いつだろう。


きっと小さい頃かな。
気づいたらずっとそばにいたもん。
そりゃあ、わからないよね。

うちは藤田ひかる。
ごくフツーの中学生。成績は下の中。小学生の頃はとんだ悪ガキだった。
性格はどうだろう。
小さい頃から女の子とあまり遊ばなかった。 男勝りだからむしろ男友達の方が多くて放課後もサッカーをしながら帰ってた。

その頃はあまり恋愛に興味はなくて、遊ぶことばかり考えてた。
そんなとき、海斗に会った。

桜木海斗。
うちの10コ上の、イトコ。
父親と母親がかなりの不良。
こんな家庭じゃろくな大人にならないだろうと思ったけど・・・。

「ひかるぅーッ!」
「うわっ!?きっショイ!来んな!」
「ぐぇっ」

・・・実際、ろくな大人にならなかった。
職業は風俗。
趣味はギター、バイオリン。
好きなタイプはエロティック。

エロティック・・・。風俗。
海斗はそんなことを全然恥ずかしく思っていない。
自由気ままな奴だなぁ。

「いてて・・・なんで殴るん?」
「お前がきしょくて敵わなかったから」
「・・・俺に惚れたな!!」
「・・・(なんか勘違いしてるーッ!?)」
「シカトかよ」
「いゃ、答える価値がないなぁーと思って」
「さりげ酷いよな、お前」
「そうしないと生きていけませんから」
「・・・お前のそーゆーとこ、好きだぜ」
「・・・えぃっ」
「あばっ」

ったくコイツは・・・
油断大敵だな。

海斗はイトコ、という感覚より兄妹というイメージが大きかった。
わざわざ栃木から来て・・・
ごくろうさん。
「ひかるに会いたかったから!!」
なぁーんて毎日言ってるけど、本当は龍斗目当てだろお前。

龍斗とはなにかって?
龍斗は海斗の双子の兄。
龍斗目当てとか言ったけどまぁ実際は龍斗の奥さんが目当てね。
美人だし。うちと違って。

「ひかるー」
「?」
「一緒に風呂入・・・」
―ドスッ
「げほっ・・・・・・ないよ、鳩尾はないよ・・・正拳突きはないだろ・・・」
「あら、ごめんあそばせっ。なんせ空手黒帯でございますから♪」


こんなにきっショイ海斗だけど・・・

ちゃんとカッコイイ一面もあるんだよ?


例えばね・・・


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