君想い。
「君、1年生?」
「可愛いね!教室おいでよーっ」
「・・・あ、あの・・・。」
「いいからいいから」

ぐいっ・・・!

かっ・・・夏帆ー!!

「おい。ナンパは校外でしろや。」

「げっ・・・。」
男たちは手を放してすぐに姿を消した。

「大丈夫?」
ニカッと笑う目の前の人
紛れも無い、今日の人だった。

「・・・ありがとうございます。」
お辞儀をしたらプッと笑われた。
「ははっ、そんな大したことしてないよ。ったく、あいつら馬鹿だよな。」
「あ、あの・・・」
「ん?」
「今日の朝・・・大丈夫でした?」

・・・痛くなかったかな?
「大丈夫だったよ」
ニコっと笑った顔がやっぱり眩しくて、目を細めそうになった。

「愛理!そろそろ・・・」
「あっ夏帆!」
「ぎゃっ!ごめん、邪魔した?」
「ううん?戻ろっか」
「そうだね。」

夏帆の方に向いてた体を
先輩に向き直した。

「あ、じゃあ行きますね。ありがとうございました!」

もっとしゃべりたかったのに・・・。

ポンッ!
「クス・・・明日教室行ってもいい?」

・・・へっ?
「は、はい・・・」
「じゃあまたね。」

頭の上に置いた手で、私の頭をくしゃっと撫でた。

そして手を振りながら教室に入っていく姿は、やっぱりかっこよくて・・・。

「愛理、顔真っ赤。」
「なっ・・・」
プッと笑いながら夏帆が言う。

「戻ろっか」
私は頷いて、夏帆と教室に戻った。


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